注目大野市政

信頼ある行政運営と健全財政

林議員が話題の大野市政やプロジェクトのを分かりやすく解説します。

(大野市の産業振興)市内事業者の稼ぐ力とは?企業価値向上、経済の自立へ

この記事は公開から2年以上経過しています。

1月27日~2月10日にかけて市民や市内事業者からの意見を募集するパブリックコメントが実施されます。詳細は(大野市の方向性)農業や産業振興、公共施設再編などの市民意見募集をご覧ください。

今回は、意見募集対象の一つである「越前おおの産業ブランド力向上戦略(案)」のポイントや私なりの視点をお伝えします。計画の概要などは大野市ホームページ(パブリックコメント)をご確認ください。なお、この計画はこれまで大野市全体のブランド価値向上に向けて取り組んできた「越前おおのブランド戦略」「越前おおの観光戦略ビジョン」を統合して、特に「稼ぐ力」向上に力点を置いた方向性が示されています。行政にとっては行政運営の根幹である市税収入に大きく影響します。

○計画名「越前おおの産業ブランド力向上戦略」
○計画期間と狙い 令和4年度~8年度の5年間における『市内事業者の「稼ぐ力」と企業価値(=産業ブランド力と定義)』の向上を図り、地域経済の自立と好循環を実現
○目指す姿 地域経済循環率(※)の向上と観光消費額の増加
※地域経済循環率とは、地域経済の全体像を示すもので、域内で生み出された所得がどの程度域内に還流しているかを把握するもの。

両計画の評価と数値目標達成状況(計画案P5~9に掲載)

ブランドキャッチコピー「結の故郷(ゆいのくに)越前おおの」の認知度は高まっているため今後も継続して使用するが、地域ブランド調査の認知度・魅力度ランキングや観光消費額の増加には結びついていないとの分析しています。
【日帰り観光客一人当たり観光消費額】=目標未達も基準年よりは増加傾向
令和4年時点5,500円を目指すとしているが、直近令和2年における実績は3,117円だった。ちなみに基準年(平成28年)における消費額は2,547円でした。
【ブランドキャッチコピーの市民認知度】=目標未達も基準年よりは増加傾向
令和4年度90%目標に対する令和3年度実績85.0%。ちなみに基準年(平成28年度)における認知度は56.8%でした。
【地域ブランド調査による大野市の認知度】=目標未達でかつ基準年より低下傾向
令和4年度全国300位以内を目指すとしているが、令和3年度実績は863位でした。ちなみに、基準年(平成29年度)の認知度ランキングは780位でした。福井県内9市で最下位
【地域ブランド調査による大野市の魅力度】=目標未達でかつ基準年より低下傾向
令和4年度全国300位以内を目指すとしているが、令和3年度実績は908位でした。ちなみに、基準年(平成29年度)の魅力度ランキングは660位でした。福井県内9市で最下位

観光戦略は新型コロナウイルス感染症の影響前まで年間200万人の入込客数を維持していたことから一定の効果があったが、宿泊業者の減少や施設老朽化による宿泊者数は減少。そのことを含めて観光消費額が低調と分析しています。
【観光入込客数】=目標未達でかつ新型コロナウイルス感染症の影響もあり減少傾向
令和3年で年間250万人を目指すとしているが、令和2年実績は112万人。ちなみに、基準年(平成28年)の数値は207万2千人でした。
【宿泊者数】=目標未達でかつ新型コロナウイルス感染症の影響もあり減少傾向
令和3年で年15万人を目指すとしているが、令和2年実績は5万2千人。ちなみに、基準年(平成28年)の数値は12万2千人でした。

産業ブランド力向上戦略(案)の目指す姿実現に向けて

(1)地域経済循環率県内最下位からの脱出を目指す

大野市は2015年のRESASデータにおいて循環率は65.4%でした。これは、福井県内9市で最下位となっており、市内での生産拡大と所得の市外からの流入を増やすとともに、所得の市外への流出を減らす仕掛けが必要です。プレミアム付お買物券など地元商店で使える商品券は市内の所得を流出させない仕掛けとして有効ですが、同時に電子マネーの還元策や電子バウチャー発行など、域外からの所得の流入を増やす仕掛けを求めています。何より、市内で生産活動が活発になる必要があり、そのための設備投資などへの支援も求めています。

(2)観光産業化に向けたビジョン共有と連携を強化する

観光消費額の増加に向けて地域ブランドの活用と市内事業者自らが現状分析と実践シートの作成を通じて産業ブランド力を高めることが地域経済の自立につながると位置付けています。地域ブランドには農林業など第一次産業も含まれており、自然環境豊かなホンモノの価値を提供する大野市において観光との結びつきは大変重要です。その価値をビジョンに乗せて共有していく。
さらに、前向きに取り組む市内事業者に対し、行政は限られた資源(人員、財源)を注力したり規制緩和するとともに、第三セクター(㈱平成大野屋など)や観光産業の指定管理者(NEXCOなど)、公的資金を受けて事業を行っている事業者・団体((一社)大野市観光協会など)の連携による観光産業化を強く求めています。

(3)中部縦貫自動車道の整備効果をエリア価値向上につなげる

観光で稼ぐことに主眼をおいていますが、福井県観光連盟をはじめ、近隣自治体で活動する事業者などとも広域的な視点で取り組むこと、その司令塔をどこが担うのか位置付けられていません。新型コロナウイルス感染症の影響が長期化していますが、中部縦貫自動車道の整備効果(福井県内全線開通はもちろんですが、(仮称)和泉ICまでの部分開通に注力しなければなりません)を最大限活かすためにも、観光誘客のあり方を徹底して議論し、具体的に仕掛けていく必要があります。
これまで行ってきた総ブランド化や特色ある施策(水への恩返しCWP、大野へかえろう、結の故郷奨学金など)が影を潜め、外部評価であるブランド調査の認知度、魅力度ともに福井県内最下位となっています。このままではせっかくの良い資源(宝)が埋もれてしまいます。観光産業化を目指す上でインターチェンジが複数ある大野市の特性を活かしたエリア価値、魅力の向上策を提言しています。

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