(令和2年度決算委員会での議論と方向性)持続可能で信頼ある行政運営に向けて
【行政経営】第六次大野市総合計画に掲げる基本目標;結のまちを持続的に支える自治体経営
令和3年度から大野市の組織機構が大きく変わりました。それまで総務部、民生環境部、産経建設部、教育委員会の4部局であったものを、健幸福祉、地域経済、くらし環境、地域づくりの各分野をそれぞれの部として再編し、結婚から子育て、保育など含めたこども全般の事務を教育委員会が担うこととなりました。スポーツと健康づくりを一体的に進めるため、教育委員会で所管していたスポーツ分野を健幸福祉部に、同じく教育委員会の所管で運営してきた公民館を地域づくり部へ移して市長直轄として機能強化を図ることとしました。そして、その組織全体を人事面、財政面、組織面で支えつつ経営の視点で取り組んでいくのが行政経営部です。
まず行政自体がしっかり業務を整理し、分かりやすく市民に伝える意識を持つことが重要です。その中で、「教育振興基金利子(決算額・3551円)」は元金1330万円の利子となりますが、利子の運用や今後の元金取崩に向けた機構改革後の対応がまだ整理されていないとのことで、早急な整理を求めました。令和3年度予算は旧体制で編成して編成後の予算を各課に振り分けたものであり、機構改革後、まだ整理されていない。令和4年度予算ではしっかり反映できるよう他課との連携、すり合わせ、調整するとの発言もありました。
「庁内ネットワーク運用経費(決算額・4284万1170円)」において、児童センターのLAN環境を整備(国のコロナ対策臨時交付金を活用)したことで、市役所とほぼすべての出先機関が庁内ネットワーク接続できたこと。「リモート環境整備事業(決算額・814万6663円)」(国のコロナ対策臨時交付金を活用)においてリモート会議の環境が整ったこと、令和3年度予算において職員のノート型パソコン導入(国のコロナ対策臨時交付金を活用)も進めることとしていることから、仕事する場所に弾力性が生まれ、公民館など現場近くでの活動を通して市民福祉の向上につながる活動が進むよう求めました。
次に、経営の観点からあらゆる視点で経費の節減を図るとともに財源確保の方策に取り組んでいくことも大切です。「児童福祉総務事務経費(決算額・1857万5540円)」の中で、システム構築に関する予算が、予定より大幅に減額となったことについて、福井県の在宅育児応援制度がスタートする中でシステム構築が必要であり、同じシステムを導入する他市と連携してシステム構築を行うことで減額できたとのこと。今後、国のデジタル庁によるシステム一元化などの動きに大変参考となる取組みだと感じました。
ふるさと納税とともに、自治体が事業を指定して市民や企業に出資を求めて事業を行うガバメントクラウドファンディングの仕組みについて具体的な策は検討されていなかったことから、財源確保の仕組みとして共感呼ぶ取り組みを選定して取り組んでいくよう求めました。
「企業誘致推進事業(決算額・21万9526円)」も令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響で直接の交渉ができなかったとのことですが、富田産業団地12ヘクタールの分譲が開始されたこと、令和8年春の中部縦貫自動車道福井県内全線開通までに完売目指して誘致活動に取り組むよう求めました。公有地の貸付料の一部が未納状態となっていることについても、売却資産の確定と早期売却による収入確保を求めました。
市税とともに大野市が自ら徴収できる自主財源である使用料(決算額・1億5085万2452円)は年々収入済額が減少しています。国による保育料無償化なども影響していますが、公共施設を担当する課における使用料収入確保や経費節減に向けた意識が乏しい状況であったことから、現在進められている公共施設再編計画の見直しに向けて「誰のために、なぜ再編を行うのか、市民や利用者の視点で進めるよう、全庁的に意思統一図って進めていくよう」求めました。
その公共施設再編とともに本来の目的を終えた施設の利活用も重要な視点となります。「小学校教育環境整備事業(決算額・1032万3360円)では、先行再編した乾側小の下庄小学校との統合に丁寧な対応が取られた一方で、再編後の建物跡地利用の議論と建物所管は普通財産となった後も教育委員会で管理していることから、教育委員会だけではなく関係課で協議すること、跡地利用は借地でもあり期限区切って方向性を出すこと、他市の学校施設の土地利用についても調べて検討を求めました。
「民俗博物館整備事業(繰り越し分含めた決算額・3628万3060円)」では、移築予定先としてた旧簡易裁判所の土地開発基金で先行取得した土地について、買戻しを行い裏庭の雪囲いを行ったもので、柳廼社境内からの移設にかかる委託料は執行されませんでした。令和3年度に入り、旧簡易裁判所の建物解体と広場整備の方針が示され、予算も議決したことを受けて現在の民俗資料館に対しては、展示内容の整理が必要と認識しており、一部は展示スペースの更新を行ったことやパネルの更新なども行っていきたい意向が示されました。
「COCONOアートプレイス管理運営経費(決算額・992万7700円)、「文化会館管理運営経費(決算額・2445万1768円)の経費節減や使用料収入確保の方策、第六次大野市総合計画の課題として文化芸術の拠点が必要としている点について、また令和3年度から機構改革により市長直轄の施設とことから、今後の方針について現在改訂作業を行っている公共施設再編計画の中で明確に位置付けるよう求めました。
行政の取り組みがしっかり市民、事業者に伝わらなければ「協働」も行政経営も成り立ちません。情報の発信について、「大野へかえろう事業(決算額・32万2538円)」や「水への恩返し事業(決算額・48万7694円)」で立ち上げた公式ホームページやSNSの活用が滞っており、何をどのように取り組もうとしているのか早急な整理と対応、丁寧な発信を求めました。特に水への恩返しキャリングウォータープロジェクトは、掲載されたコンテンツと現状が合っておらず、大野市ホームページに移行後は閉鎖予定とのこと。市全体の発信を行政経営部政策推進課が中心に担う重要性を訴えました。
併せて、「越前おおのブランド推進事業(決算額・1039万9663円)」で、これまでは総務部が中心となり知名度アップを目指して天空の城や内山家などでブランドを作ってきたが、令和3年度から地域経済部が中心となり、今後は「稼ぐ」ことにつながるものをブランド化していく方針が示されました。その中で、応援団として設置してきたゆいびとファンクラブや広告塔と位置付けてきたブランド大使についても、現在策定中の越前おおの産業ブランド向上計画の中で検討を求めました。
情報発信以上に重要な広聴について、「広報広聴事業(決算額・630万1121円)」の中で広聴はやまびこ提案箱ややまびこメールがあるとのことであったが、出された意見に対する回答含めて広報紙やホームページで発信することで市民全体の広報広聴につながることから検討を求めました。
行政のデジタル化も喫緊の課題であり、市民や観光客の利便性向上につながるよう、仕組み変革やデジタル活用が求められます。「キャッシュレス決済推進事業(決算額・95万626円)」において観光施設や診療所の支払いにキャッシュレスを導入した中、越前大野城の入館者向けに販売している(一社)大野市観光協会販売の御城印は現金での取り扱いとなっていました。一方で市と観光協会では販売手数料(決算額・20万7120円)に関する取り決めがあり、入館料同様の取り扱い、改善を求めました。
「賦課徴収事務経費(決算額・5467万4986円)」に関連して、コンビニ収納やキャッシュレス決済推進など収納方法の多様化に取り組んでおり税全体の収納に対する割合はどの程度か確認したところ、市税全体の約51%が口座振替。残りは納付書発行となるが、金融機関での納付が約30%、残りはコンビニなどの納付で約19%となっている状況。納期限までの期限内納付が増えており一定の効果が見られました。
デジタル庁が発足して、今後ますます行政のデジタル化を進めていく必要があります。令和3年度予算において議会も含めて行政のペーパーレス化を進める方針を固めて対策を強化していきます。
そのほかにも、さまざまな観点で議論しています。ぜひ、皆さんのお声を聞かせてください。ご意見はSNS(インスタグラム・Twitter・Facebook)のダイレクトメッセージからお寄せください。