会派視察研修の概要と考察(文化ホール新設、ふるさと納税、就農支援など)
2025年7月政務活動の一環として、会派研修を行いましたので、その概要を復命いたします。
参加者(市政会・高田議長、白﨑議員、伊東議員、林)
視察先① 東神楽町複合施設整備事業(はなのわ)について
【担当・建設水道課 高田課長、瀬戸口補佐】
・人口約1万人(高齢化率25%)、旭川市のベッドタウン
・庁舎建て替えに合わせて隣接する文化会館(耐震不適合)も併設
・総事業費は当初40億だったが、最終的には48億5千万に。
(財源内訳は国庫12.4億円、起債27億円、残り一般財源)
・単純比較できないが、維持管理費は建設前より増加(庁舎にスマートロックやフリーアドレス採用)
・公共施設複合化の市民検討委員会(各界代表・町民20名で構成)で2年余り計17回議論した
(考察)
庁舎という特殊性と文化ホールを併設させる工夫として1週180mのループ状の廊下デザインを採用したことにより、庁舎部分と町民利用(夜間休日含めて)を実現していた。職員の言葉として「シビックプライド」という言葉が何度も使われており、今後さらに町民利用を促進していこうとする意欲が感じられた。
平成時代に人口が急増したエリアであり、今後は宅地造成も終わり減少局面に入ることを見越して機能集約化を図っており、まち全体のビジョンを共有して公共施設の整備・集約化を行うことが重要だと改めて認識した。その辺りが本市に欠けており、議会での議論を通じて政策提言していく。
視察先② 富良野市ふるさと納税について
【担当・シティプロモーション推進課 竹下課長】
・人口約2万人(高齢化率34%)、近隣町と一体で観光誘客を図る
・総合計画と連動した形で寄付(項目を設定)を求めている
・市長が認める以外で一番多いテーマは「子育て教育の充実」
・当該年度は基金に積んで翌年度事業に充当(事業選択は財政課)
・中間業者を「さとふる」と「レッドホースコーポレーション」(R3~追加)2社体制にしている
・令和4年度から地域おこし協力隊4名も採用し、返礼品事業者のサポートを充実している
・令和6年度寄付額約23億円の6割以上が「メロン」、登録112者中40者がメロン取り扱いあり
・ふるさと納税をあてにした事業は行っていなかったが、令和7年度から「協創のまち推進」事業を立ち上げた。ただし、実績はゼロ。現地訪問型のふるさと納税も着手しているが伸び悩み、課題となっている
(考察)
ふるさと納税15万1千件(人数は重複あり)あるが、国が地方創生2.0で求めている「ふるさと関係人口」に加えるかの問いに対しては慎重になっているとのこと。理由として、将来的な定住を見通した場合、未だに通販感覚での応募が一定数あるため。今後検討だが、ふるさと納税応募時に「将来的な定住」を選択してもらうなど工夫するとのこと。
また、広告宣伝費400万円のうち、340万円をサイト内の検索連動型に投資しており、4.2万回のクリック、5361万円の購入実績(15.8倍の効果)とデータを細かく分析していたことから、本市の状況はどうか確認するとともに政策提言につなげていく。
視察先③ 新ひだか町就農支援と移住施策について
【担当・産業経済部 及川部長、農政課 木村課長、太田補佐、福井係長】
・人口約2万人(うち旧静内町1.6万人、旧三石町4千人)
・旧三石町に大野市からの移住者も多く、友好市町となっている
(宿泊先に北道健一町議が来られ、これまでの交流実績を伝達いただいた)
・就農支援は国の制度に町独自の補助を協議会で用意している
(町独自として研修費や住宅、農地借地料、借入金利息支援、固定資産税の2年免除など)
(協議会予算は町から。ふるさと納税や過疎債ソフト事業なども活用)
・平成24年から現在、約50人が就農中、夫婦で就農が約半数ある
・個人の事情(結婚・帰郷)や経営難で「離農」しても補助金は返還求めないこととしている
・JAが全量買い取る「ミニトマト」「花き」と和牛の3つを町の振興作目と位置づけている
(考察)
非常に充実した支援策と全量買い取る安心感で就農支援を行っていることが分かった。また、印象的だったのが「周りの農家が新規就農者を世話してあげる雰囲気・つながりを感じるようになった」ということで、移住者の不安解消につながっていると感じた。本市も農業が基幹産業であるが担い手不足が生じており、株式会社昇竜や(一財)越前おおの農林樂舎などの第三セクターの役割、新たな就農支援策など政策提言していく。
その他
移動途中に本市出身者が立ち上げたファーム富田(中富良野町)に立ち寄って、事務所を訪問した。社長は現場(畑)に出ており不在だったが、現在社員約50名、夏季シーズンのみのアルバイトを採用して会社経営しているとのことを伺った。平日にもかかわらず多くの観光客が訪れていたが、大半はアジア系インバウンドだった。