活動報告

財政健全化に力を注ぎます

「誇れるまち・大野」のために

(財政分析・大野市)令和2年度末の状況、将来を予測し備える

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#04財政健全化

 

大野市ホームページ(財政状況の公表)

 

令和3年度がスタートして3か月余りが経過しました。大野市は大規模な組織改革を行い、第六次となる大野市総合計画に基づく施策の取り組みを始めていますが、権限、財源、人材など地方分権の流れは進んでおらず、逆に国頼みの行政運営にならざるを得なくなっています。この10年の間に一年でも早く対策して、財政基盤を作り直していかなければ地方自治体が生き残っていけなくなってしまいます。

大野市ホームページに令和2年度末時点の財政状況が公表されていました。その全体を掴んで、大まかな分析を共有したいと思います。なお、この決算については、別途監査委員による審査ならびに大野市議会決算特別委員会(今後設置)において使われた予算の中身や成果を議論することとなっております。

 

●一般会計の決算額は大幅増…理由は国の「新型コロナウイルス感染症対策」

 例年、170~190億前後の決算額となっていた一般会計ですが、令和2年度は239億と大幅に増加しました。これは、国民一人10万円の給付を行った定額給付金事業など、新型コロナウイルス感染症対策に要する支出が大幅に増えたことによります。

 

●市税収入は39億532万8000円、前年度比9062千円の減少

 新型コロナウイルス感染症の影響がどれほどあるのか、ないのかと気になっていた市税全体の収入は前年度比約900万円余りの減でした。国全体では税収は落ちなかったとの報道がありましたが、大野市では市税の大半を占める固定資産税が18億3251万5000円と前年度と比較して1789万5000円増加した一方で、法人、個人の市民税が16億5428万3000円と前年度比2740万1000円の減少、入湯税が251万3000円と前年度比331万3000円と大幅に減少しました。

 

●市債(市の借金)残高は市民一人当たり72万3854円

 道路や建物の整備等のため、一部資金を銀行等から借りて調達する市の借金(市債)残高は一般会計で134億929万9000円と前年度と比較して3億9559万8000円増加しました。特別会計・企業会計を含めた市全体では232億2339万4000円と、前年度と比較して4億164万2000円増加。その結果、市民一人当たり約72万余りの残高があります。

 

●基金(市の貯金)残高は市民一人当たり18万7613円

 新型コロナウイルス感染症や災害などが行った際、急な行政需要に応えるために基金(市の貯金)が積み立てられています。その残高は60億1917万9000円で前年度と比較して2億3664万4000円減少しました。緊急時に即座に対応できる財政調整基金の残高は前年度比1億6535万9000円増加して18億719万3000円、借金返済のための積立である減債基金残高は4億2901万1000円でした。市民一人当たりに換算すると、約18万余りの残高となりました。

 

(論点)

○今後、移住・定住促進や結婚・出産支援による効果が出たとしても大野市全体の人口は一定数減ります。その上で、市税収入の確保や借金返済、貯金積立はどうするのか。

→新たな収入を得るための産業育成や財源確保策の実施

→企業会計など独立採算制の会計における料金収入確保と新規借金の抑制

→危機対応時に速やかに財政出動できる弾力的な貯金の積立

○時代の変化により役目を終えた公共施設や事業は無いか。市民にその必要性が認識されているか。

→公共施設再編計画の見直しに取り組むとしており、長年続く事業の廃止や、優先順位を決めて取り組む施策の選択など含めて市民や事業者を巻き込んだ議論の前提となる情報の提示

→再編の必要性とともに行政全体の改革

→インフラ資産や施設の長寿命化に向けた明確な方針の提示

○団塊世代が75歳以上高齢者となる2025年やそれ以降の行政全体に占める『扶助費』増大が予想されている。扶助費は人件費や公債費(借金返済に必要な経費)とともに義務的経費であるが、その増大抑制に向けた取り組みが急務であり、持続可能な医療、介護、健康福祉の仕組みに変えていかなければならないが、何をどうすべきか。

→対象者一人ひとりに社会的役割や自己実現の機会を与えて、亡くなる直前まで健康で過ごす健康寿命の延伸(医療・介護費用の抑制)

→医療や介護を支える従事者がやりがいを持って働くための処遇改善、また転職しやすくなる資格取得や経験を積める環境整備(重点的な人材育成支援)

→医療、介護利用に関する自己負担割合の変更(国全体での議論要請)